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被相続人の方が銀行などに預貯金を遺しておられた場合、相続財産となりますが、その処理については判例と銀行実務では大きく異なっております。
預貯金のような可分債権については法律上当然に分割され各共同相続人がその相続割合に応じて権利を承継するものと解する(最高裁平成16年4月20日)。
つまり、Aさんが亡くなられてBCDの相続人がいる場合、Aさんが300万円の預金を遺されていたときは、死亡と当時に3人がそれぞれ100万円づつ相続する、というものです。
一方、銀行実務は上記の場合、Bさんが単独で自分の持分である100万円だけ払い戻してくれ、と言っても絶対に応じません。
名義人の死亡が判ると(田舎では新聞の死亡記事で確認するところもあるそうです)口座は凍結され、相続人全員の実印が揃うまで一切解約には応じません。二重払いの危険をなくす、相続人間のトラブルに巻き込まれないようにする等の理由だそうです。
金融機関がこのような取り扱いをするのは、預貯金が当然に相続割合に応じて分割される、としておきながら遺産分割の対象になることも認められているからです。
相続割合に反する遺産分割も当然に認められており、一部の相続人に支払った後にその他の相続人に預貯金全額相続させる旨の遺産分割協議が成立すれば、当然にトラブルになってしまします。
そこで、口座が凍結された後は、各金融機関の指示に従って書類を集め、手続をする必要があります。
以下、遺産分割協議前と後に分けて必要書類を説明いたします。
遺産分割協議が整う前に、とりあえず共同相続人の一人を代表にして預貯金を払い戻したい、という場合です。
(1)払戻依頼書
金融機関所定の用紙に相続人全員が署名押印(実印)したものです
(2)被相続人の戸籍謄本
出生より死亡まで連続したもの。これにより、誰が相続人かが確定します
(3)相続人全員の戸籍抄本
相続人一人だけが記載された抄本で大丈夫です
(4)相続人全員の印鑑証明書
3か月とか6か月とか金融機関によって差があります
遺産分割協議が成立した後に、相続することになった相続人から払い戻す場合です。
(1)遺産分割協議書
預貯金の相続人を明記し、相続人全員が署名押印(実印)したものです
(2)被相続人の戸籍謄本
(3)相続人全員の戸籍抄本
(4)相続人全員の印鑑証明書
上記のとおりです
ちなみに、遺産分割協議書を含め書類はすべて原本提示が必要です。
返却をお願いすれば、コピーをとって原本は返却してもえらえます。不動産登記でも必要になりますので、出来るだけ原本は渡さないようにしましょう。
なお、遺産分割しようにも残高がいくらあるかも判らない(通帳が紛失している)場合は、まず残高証明書を依頼することから始まります。
この場合は、相続人全員から依頼する必要はないので
(1)残高証明書発行依頼書
金融機関所定のものに、依頼する相続人一人が署名押印(実印)したものです
(2)被相続人の戸籍謄本
死亡の判るものだけでよい
(3)依頼する相続人一人の戸籍謄本
被相続人と相続関係にあることが判ればよい
(4)依頼する相続人一人の印鑑証明書
が、必要書類となります。